企業の残業代未払い問題は年々増加しており、今や深刻な社会問題となっています。会社は従業員に対して賃金支払い義務を負っており、これはその義務を怠る行為となります。民事上の責任はもちろん、悪質な場合は刑事上の責任も生じ得る立派な法律違反です。未払い残業代の請求を検討する場合、まず初めに取り掛かるべきことは証拠収集です。
証拠がない状態での請求は勝ち目がありませんので、雇用契約書や就業規則、始業・終業時刻を立証するデータ(タイムカードなどの勤怠記録、業務用メールの送受信履歴等)を慎重に集めましょう。証拠が揃えば、いよいよ交渉に移ります。早期にかつ費用をかけずに請求する方法として最初に挙げられるのが、会社との直接交渉です。しかし、労働者側が引き続き会社に在籍する場合は、会社とトラブルになるリスクが高く、あまりおすすめできません。
そこで次に考えられる方法に、労働基準監督署に労働基準法違反として申告するという方法が挙げられます。きちんとした証拠があれば、正確な残業代の計算も行ってくれますし、匿名で申告を依頼することも可能です。残業代の未払いは法律違反となるため、法的措置をとることができる可能性もあります。この場合、「通常訴訟」で請求する方法と「労働審判」で請求する方法があります。
通常訴訟では、労働基準法上の割増賃金と同額の付加金と、遅延損害金を併せて請求することができるため、確実に未払い分を取り返すには有効な手段ではありますが、個人で訴訟を起こすには少しハードルが高く、弁護士に依頼をすることで費用がかかるというデメリットもあります。証拠集めや交渉など面倒なことが多い印象ですが、労働基準法では「賃金や災害補償その他請求権は2年間」と決められています。すなわち、1日でも早い行動をとることが、請求できるはずの残業代を取り返すことにつながるのです。人事考課のことならこちら