労働者が働く場所というのは、必ずしもオフィスの中だけとは限らず、営業などであれば、取引先を回って働くことになります。そのように事業場の外で働く時には、事業場外みなし労働時間制という制度で、労働時間を決めています。この制度は、タイムカードで細かく記録しているわけでもなく、電話やメールで細かく上司の支持を受けているわけでもないので、いつからいつまで働いたのかわからないという人のために使われてきました。これによりどのような働き方をしたかにかかわらず、事業場外で働く労働者は、一定時間は働いたとみなされることになります。
労働基準法では1日の労働時間は8時間、1週間に40時間で、それを超える労働は残業ということになります。事業場外みなし労働時間制では、これに基づき、何時間働いたとしても8時間働いたという扱いになります。これは8時間に満たないとしても、逆に超えたとしても8時間ということになってしまうものです。短い労働時間で8時間分の給料をもらえるのであれば、労働者にとっても嬉しいところですが、残業続きでも8時間しか働いていないという風になってしまうと、労働者の心身はすり減り、命を縮めることになります。
では、事業場外みなし労働時間制の場合には、残業代を請求することが出来ないのか、というと、外で働く時間が8時間では到底足りないということを証明すれば残業代の請求をすることができます。また、事業場外みなし労働時間制で給料が支払われていたけれども、細かく指示を受けて動いていたり、グループで動いてその中に責任者がいたというような場合は、労働時間を把握する事ができるので、事業場外みなし労働時間制の適用外となり残業代の請求が可能となります。