事業場の管理監督者には、労働時間を適正に把握する義務があり、そのためには労働者の労働日ごとの始終業時刻を正確に把握し、記録しなければなりません。このことは、平成29年1月に厚生労働省が示した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」にも明示されています。しかしながら、例えば、外回りの営業職や出張など、業務の性質上、実際の労働時間の算定が難しい場合も想定されることから、例外的な措置として「事業場外みなし労働時間制」が昭和63年の改正法施行により設けられました。この法律により、管理監督者は、所定の要件を満たしている場合は、労働時間を把握する義務から免除されます。
つまり、外回りの営業職などが、事業場外で遂行する業務には、管理監督者の指示命令が及びませんから、労働時間の算定が困難であるとみなされ、労働時間の算定を合理的に行うために、事業場外みなし労働時間制が適用されます。この場合、事業場外で行われる業務が、労働者の労働時間の全部でなく、一部であっても「事業場外みなし労働時間制」が適用されます。さらに、その業務を遂行するために、所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、その時間も労働をしたものとみなされますので、残業代が支払われることになります。もちろん、この場合の残業代は、一般の残業代と同様に定められた割増賃金が適用されます。
また、業務の遂行に必要とされる所定労働時間を超える時間数については、事業場の過半数組合又は社員の過半数以上の者から委任された社員代表との間に労使協定を締結することによって定めることになります。